概要

柑橘園の地形や樹列を測量してデータ化すると、防除の自動航行や園内道・搬出経路の検討に利用できる。2022年の実証では、傾斜地でのドローン散布により防除時間が短縮し、別の研究では作業道の設置による果実搬出時間の短縮が示された。

詳しいファクト

地形データを使ったドローン防除

2022年の農林水産技術会議の実証では、斜度25度の特定の柑橘園で、高低差や傾斜を反映した地形データを作成し、ドローンを自動航行させた。実証値では、薬液調整や機材準備を含む防除時間が、10a当たり手散布の167分からドローン散布の60分となり、1回当たり107分短縮した。年間9回の防除のうち6回をドローンに置き換える試算では、10a当たりの年間作業時間は1502分から923分に減少し、後者には地形データ取得と飛行プログラム作成の時間も含まれている。

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施肥では園地情報と生育情報を分けて扱う

農林水産省の果樹向けスマート農業技術カタログには、高精度測位による自動飛行で肥料を散布するドローンや、生育マップから作成した施肥マップを読み込んで場所ごとに散布量を変える技術が掲載されている。園地の外形、高低差、基本的な樹列は比較的変わりにくく、樹勢や樹冠の広がり、着果量は年によって変わるため、基本データにその年の生育情報を加える使い方が紹介されている。柑橘の測量による施肥時間の短縮を直接示す国の実証値は確認されていない。

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地形情報を搬出経路や園内道の検討に使う

農研機構は、国土地理院のオルソ画像や標高データを使い、現地測量をせずに傾斜地の柑橘園で園内道の長さや勾配を比較できるシステムを開発している。道路勾配が15度を超える区間も把握でき、搬出経路の変更や園内道の整備に利用できる。農研機構の別のウンシュウミカン研究では、作業道の設置によって収穫果実の搬出時間が20~30%短縮した。測量データの利用方法は機械やサービスで異なるため、データの受け取り形式や翌年以降の利用可否を確認することも案内されている。

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独自観点のコメント

### 測量を「作業の選択」に結び付ける

紹介された事例のポイントは、測量そのものを導入効果とみなさず、作業時間や勾配、搬出距離の把握に使っていることだ。防除では一度作成した地形データを複数回の散布に使うことで、データ取得の手間を年間作業の中で分散できる。一方、柑橘の施肥については直接的な作業時間の削減実証値が示されておらず、防除の数値をそのまま施肥にも当てはめることはできない。

競争上の違いは、測量機器そのものより、作成したデータを自動航行、施肥、園内道設計など複数の作業で再利用できるかに表れる。データ形式や利用権、更新条件がサービスごとに異なれば、別の機械や事業者に切り替える際の制約になり得る。まず負担の大きい作業を特定し、公開地図で足りるのか、追加のドローン測量が必要なのかを見極める進め方は、過剰な計測投資を避けるうえでも合理的だ。

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